じゃずバルブトロンボーン吹きの日常 in 新潟 改め 亀戸

ジャズ(および居酒屋)天国、新潟を離れ、東京のド下町からお送りする、極めて個人的なジャズ情報ブログ

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Chris Potter という超人

いぇい!(笑)

ということで、行ってきました。
待望のクリポタライブ@コットンクラブ

知っている限りでは、バンドとしての正式な来日は5年ぶり2回目ということになるのでしょう。
前回は、Dave Holland Bandのメンバーとして来日しました。
このとき、た~またま「放し飼いトリオを新潟へ呼ぼう」という企画と重なってしまったため、聞きにいくことができませんでした。とはいえ、その当時はホランドのバンドについて「小難しい変拍子ジャズ」ぐらいの認識しかなく、後からそのライブの非公式音源を聴いてドギモを抜かれた、というのが実際のところです。


かくいう私、クリポタのことはデビュー直後から追っかけており、クリスクロスで地味~なアルバム作っていたころからのファンです。なので来日・観戦記念としてこの「くりぽた」にスポットを当ててみましょう。


ジャズファンのみなさんはご存知のことと思いますが、クリポタの名が世に知れ渡ったきっかけというのは91年のセロニアスモンク・コンペティションからでしょう。このモンクコンペは1987年に創設された米国のジャズコンクール。いわゆる若手ジャズ奏者の登竜門で年によって対象となるお題(楽器)は変わります。
クリポタが参加した91年サックス部門というのは「超当たり年」で、1位がJoshua Redman 2位がEric Alexander で、このときクリポタはまさかの3位に甘んじたりしております。

そのころのクリポタはというと、どちらかといえば「ブレッカー以降のコンテンポラリーサックス奏者」という大きな括りで片付けられてしまう程度の位置づけであったような気がします。
リーダーアルバムをいくつか聴いたりしたのですが、最初はあまりピンと来ておらず、それほどのめりこんめなかった。はじめて衝撃を受けたのは、その当時突然の復活を遂げ全世界ツアーを敢行した「Steely Dan」のライブアルバム「Alive In America」です。

Alive in AmericaAlive in America
(2003/02/24)
Steely Dan

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って、これものスゲー安いな。
知らない人もだまされたと思って買ってください。
ぜったい損はしない。

膨大なライブテイクからの編集なので、曲によってはBob Shepardだったりしますがこのアルバムの4曲目・11曲目でソロを取っています。ちなみに4曲目は最近めっきり吹かなくなってしまったアルトでの演奏で個人的にはこっちがお気に入り。なんせ11曲目はあの名曲「Aja」なので、さすがに元ネタのショーターとつい比較してしまうので分が悪い(笑)アルトでのソロはいかにも「サンボーンのフュージョン」的なアプローチに、ほんのちょっとだけうねうねクロマチックラインが入り混じったなかなか気持ちの良いソロです。

実はこの94年クリポタ入りのライブツアーを私はすんでのところで見逃しています。
会社からほど近い代々木体育館がライブ会場。あの伝説のバンドが生で見られる、ということで、早々とチケットも予約してたんですが、なんとそのライブ当日にチケットの入った財布ごと落とす、という悲劇に出くわし、盛り上がっているであろうライブ会場を横目に見ながら涙目で帰路についたのでした。

ちなみに2000年に発売された復活後初のスタジオ録音版「Two Against Nature」では、クリスポッターはホーンアレンジとソロで大フィーチャーされており、この時期のSDの活動に大きな影響を及ぼしたことはくりぽたの歴史を語る上では外せないエピソードでしょう。

Two Against NatureTwo Against Nature
(2003/02/24)
Steely Dan

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SDの活動で改めてその存在感を大きくしたクリポタ。95年にコンコードに移籍し、この間にも自分名義のアルバムを地道に作っていました。参加しているミュージシャンもけっこう大御所が参加。でもまだこのころはパッとしないんだよなぁ。
90年代の活動として私が特にお気に入りなのはこの二つ。


Concord Duo Series 10Concord Duo Series 10
(1996/03/21)
Chris Potter、Kenny Werner 他

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BrandynBrandyn
(1997/04/08)
Al Foster

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前者は学校の恩師であるケニーワーナーとの師弟競演盤。
アルバム全編を通して非常にリラックスした雰囲気。時にシリアスに、そしてユーモラスに、まさに会話のように音がつむがれて行く様は、今聴いても心がほっこり温まる演奏です。
二人のオリジナルに加え、私の大好きなハレルのSail Awayや、Epistrophy・Giant Stepsなど、クリポタ初心者にはたいへんおすすめのアルバム。

で、後者はマイルスバンドのドラマーとして名を馳せた名ドラマーAl Fosterのリーダー作。
ここではわりとソプラノメインで吹いています。
クリポタのアドリブソロにおける様々なアイデアがとてもわかりやすく展開されています。

この2作品に共通して言えるのは「わかりやすい」ということ。
いずれもあまり難しいフォーマットでない分、クリポタがどういうイメージを持ってアドリブを作っていくのかが私のようなど素人が聴いても良くわかる(爆)あと、歌心もあって聴きやすい。
リーダー作を聴いてピンとこなかった、というのは、実は「自分の耳がクリポタのイメージについていけてなかった」ということの証左でもある、と最近気づいた。

ただし、ここでのクリポタはまだ完成の域までは達していない。
まずはその「音」
ま、CDの音だからあてにならない気はするが、今に比べるとだいぶ線が細いように感じる。
そしてアーティキュレーション。
これについては今とは明らかに違う。
全体的にアタックが甘めで、シンコペーションのレイドバックもいまほどではない。

さてこれが変容したのがちょうど2000年ごろ。リーダー作で言えば「Gratitude」あたりから。
何があったのかわからないが、この90年代後半から2000年にかけての間に、今にいたるいわゆる「クリポタ節」が完成される。
おそらくフレーズの中身自体に大きな変容はないのだが、ある意味パーカーの節回しをも彷彿とさせるような、非常にバピッシュでアクが強く、そしてキレのあるフレージングに変わった。

ついでに言えば、音についても同時に進化を遂げている。
前述のとおり、2000年以前の演奏における音は、若干ひ弱な印象であったのが、いわゆるテナーサックスの王道を行く、逞しく力強い「男」って感じの音へと変貌。
「録音の問題」ということも考えられなくはないが、実は音はもともと素晴らしくてアーティキュレーションの変化に伴って本質的な音の良さ、力強さが引き出されたというのが本当のところなのかもしれない。


Traveling MerciesTraveling Mercies
(2002/09/17)
Chris Potter

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この変化(特にアーティキュレーションの変化)によってクリポタはまさに「スタイリスト」の一人となり得る個性を獲得したと言えます。ジャズテナーサックス界のスタイリストといえばやはりロリンズ・コルトレーンが真っ先にあがりますが、少なくともマイケルブレッカーと互角に渡り合えるぐらいの普遍性と独自性を兼ね備えた存在であるように私は思います。ちなみに2000年というと、前出のSD「Two Against Nature」も同時期。

さて、変化を遂げたクリポタの世界を存分に堪能できるアルバムを二枚ご紹介。


Lift: Live at the Village VanguardLift: Live at the Village Vanguard
(2004/05/25)
Chris Potter

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こちらは2002年のVillage Vanguardでのライブ盤。とにかく強力。
これを聴くと「小難しい」とか言っていたのをホントに恥ずかしく感じる。そこにあるのは音の力強さ。オリジナル曲は相変わらず変拍子でひねくれてたりするけど、そんなこと考える意味ある?っていうぐらいグイグイドライブしていくパワー。ぜひ一度そのうねりに身をゆだねてみてください。


Songs for AnyoneSongs for Anyone
(2007/09/11)
Chris Potter

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そしてもうひとつはかなり異色ではあるが、ストリングスも入った10人編成での演奏。
全曲クリポタのオリジナル。ひとことで言えば決してとっつきやすい音楽ではありません。ただ、普通のコンボジャズのフォーマットとは違い、ストリングスがよりクッキリと音の輪郭や色彩感を刻んでくれることで、クリポタの構築した「音楽」がストレートに伝わってきます。
頭も耳も悪い私はこれを聴くことでようやく「くりぽたの考える音世界」の一端を垣間見れた気がしたし、遡って過去のリーダー作で伝えようとしていたこと、やりたかったことの意味が少しわかるようになりました。
ハッキリいって、曲調は全般的に「暗くて重たい」です。でもひとりで音楽に浸りたい時にはホントに最適な音楽。最後はちゃんとハッピーエンドだし(笑)
個人的には登場まで4分以上待たせた上でくりぽたの「狂気」が垣間見れる3曲目がおすすめ。ヘッドホンで爆音で聴いたらぜってぇ泣く(爆)



さて、長々つづってきましたがよーやくUndergroundです。
良く「変拍子ばっかりの変態音楽」みたいな言われかたをしますが、よくよく考えるといまどき変拍子ぐらい珍しくもなんともないのだ。そういえばすでに自分が学生のころすでに「M-Base」なんてのが流行ったりもしてたし。
ではなぜくりぽたはここまで変拍子ジャズにこだわるのか?はっきりした答えはもちろんわかりませんが、なんとなしに思うのは、アドリブにおいて予定調和的展開をいかにさけ、緊張感を持続させるかということなのかな、などと思いますが、良くわかりません。
仮にそういう意味があったとすれば、もともとのこのバンドのフォーマットである「ベースレス」というのもなんとなく納得がいく。まぁいちおうベースの替わりにローズがベースラインっぽい役割を担ってるんですが、そこは所詮片手間(左手、か)なので、単純にバンドをグルーブさせるようなビートは出さずに、よくわからないうねうねうねしたラインが主体。いっぽうローズの右手とギターもやはり単純なバッキングではなく、コードとラインをシームレスに行き来するという、いささか頭でっかちな感じ。ま、これも強力なドラムのビートがあればこそ、ということなんだろうが。

私がこのフォーマットでの真骨頂を味わえると思ったのは、やはり最初の作品「Underground」


UndergroundUnderground
(2006/01/31)
Chris Potter

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いまのところ「Underground」で出ているアルバムは3枚ですが、このアルバムだけ、ギターがWayne Krantzなのです。ホントのところは「サウンドが云々」ということではなく、単純にクランツファンだから、かもしれないけど、「Underground」らしさ、というのはクランツ・ティボーン・スミスの組み合わせのほうがハッキリしているなぁと思っていた。そう、この間のライブまでは。。。



と、よーやくこないだのライブまでたどり着きました。
このライブが記憶に残るライブになるであろうことはある程度予想はしていました。
しかしそんなちっぽけな期待などいとも簡単に打ち砕かれようとは・・・

と、ここからはあくまでクリスポッターのファンである私個人の感想です。
一般的な評価、というものとは違うかもしれない、ということを恐れずに申し上げます。
「くりぽたは格が違う」と。

実は私、この2ヶ月の間に91年モンクコンペの受賞者3人をすべて生で聴いてしまいました。
ちなみにジョシュアは前に2度ブルーノートで聴いています。エリックアレキサンダーとクリポタは初めて。
もちろん演奏する音楽の系統もフォーマットも違うので、比較すること自体あまり意味がないと思うし、みな上手かった。
だ・け・ど、ですよ。


クリポタの凄さというのはこんな文章では到底言い表すことができないぐらい凄かった。
もう理屈とかではないのです。
ライブを経験してからすでに2週間が経過しようとしていますが、あの瞬間に起きたことをいまだに整理できず、でもなんとか理解したい、と考え続けている自分がここにいます。

ま、くだらないことを書くよりはこれを見てもらうのが一番わかりやすいでしょう。
とは言え、これを見たからライブでの本質が伝わるとは思えないのがたいへん残念ですが。

http://www.cottonclubjapan.co.jp/jp/sp/2012/0526_chris/

とても「解説」などできはしないのですが、とりあえず感じたことを書きつづってみましょう。

①音がすげー
私のライブ経験の中で、これほどまでに音で圧倒されたのは「グロスマン」以来です。
とにかく密度の濃い、そして野太い、かといって荒々しくなく、非常に繊細で緻密にコントロールされている。
そう。あまりに完璧なのです。

②フレーズがすげー
とにかくいつまででも溢れ続けます。
時間の経過という感覚を忘れてしまうぐらいどこまでも長く、それでいて、いわゆる安直な「手癖」に陥ることなく次から次へとヘビーでトリッキーなパンチを浴びせかけてきます。
「この世に終わりはこないのではないか」と思ってしまうぐらい。

③歌心がすげー
①②のように書くと、まるで超絶技巧が売りのように思えてしまうのではないかと思いますが、バラードはもちろん、どんなにひねくれた曲でも完璧に歌い上げます。どちらかといえばその歌心は朴訥といっても良いぐらいストレート。たとえばブレッカーは巧みなアーティキュレーションを駆使してメロディーにメリハリや陰影をつけますが、そういう小細工は一切なし。実にたんたんと歌いあげます。

と、思いつくところをいくつか書きましたが、こんなことで表現しきれるものではないのですよ。あーくやしい。


あ、ちなみに、クリポタのことばっかり書きましたが、バンド全体として、ほんとに凄まじいことになってました。
ファンの方にはたいへん失礼な話しですが、Adam Rogers には正直それほど大きな期待をしていなかったのでこれはホントにうれしい誤算でした。ちなみにRogersが参加しているUndergroud2作とはアプローチの仕方が大きく変わっていました。どちらかというと浮遊系(ってそんな言い方あるのかどうかわかりませんが)というイメージでうねうねとラインを行き来する印象だったのですが、今回のRogersはキレのあるカッティング主体のバッキングと、音数を抑えたリズミックなアプローチのソロを使いよりバンドのグルーブ感を煽っていました。
ベースのEphronはいい意味でティボーンの左手と同じ感じ(笑)Funk Beatでベースとなると、ついマイルスバンドのダリル・ジョーンズみたいにずんずんビートを押し出してくるのかと思ったら、そんなわかりやすいことになるわけもなく(笑)以前は頭でっかちで上のほうでローズとギターが「もやもや」としていたのがスッキリし、逆に低音が今まで以上に大きな音で「もやもや」するという、新しい形になっていました。
ま、Nate Smithについては多くを語らないでよいでしょう。
すげー!
それだけです。


私は最終日の2セットを通して聞いたのですが、正直もう曲名だとか曲順だとかぜんぜん覚えてないので、そういうことは他のマジメなブロガーさんにおまかせすることにして、ほんとに印象だけで書いてしまいました。
もしかしたら、この文章を読んでとても気分を悪くされる方もいらっしゃるかもしれませんが、もし「次の機会」というものがあれば、ひとりでも多くのみなさんにこの衝撃を生で味わってほしい、そう願うことでこのような記事を書いているのだ、と理解していただけると幸いです。

では最後に、お約束。

「クリポタ、クリポタ、、いえ~~い♪」
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コメント

わたしはSongs for Anyoneが大好き

トラバします。
ありがとございました。(^-^)

  • 2012/06/11(月) 17:04:54 |
  • URL |
  • Suzuck #OARS9n6I
  • [ 編集]

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クリポタ、クリポタ、、いぇーーい♪(前半戦)

Chris Potter Underground @ コットン倶楽部(6/29 

  • 2012/06/11(月) 17:08:45 |
  • My Secret Room

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